プライマリ・ケアの定義や意味合いは幅広く、用いられる場面や状況によって若干ニュアンスが異なる場合があります。簡潔にすべてを包含できる解釈は難しいのですが、その一つに1996年の米国国立科学アカデミー(National Academy of Sciences, NAS)が定義したものがあります。その中では、『primary careとは、患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである』と説明されています。 本来、「プライマリ」は「プリマ(主役)」に由来する語で、初期、近接、基本といった意味に加え「重要な」という語義も含まれ、プライマリ・ケアは地域の医療を担う重要な役割を持つものといえます。
薬剤師の役割は、人々の生活の質を維持・向上を目的に、元気・笑顔でいていただくために、明確な結果をもたらすための薬物療法にかかわるすべてのことに責任を持つこと(ファーマシュティカル・ケア)です。地域の皆様のセルフメディケーションを手助けし、必要に応じて医師や福祉・介護へ橋渡しするなど身近な健康にかかわるアドバイザーとして、薬剤師はプライマリ・ケアに深くかかわっています。